誰かの罪を裁くとき『正義廻廊』

香港で小規模上映かつ低予算で作られ、さらにR18作品であったにも関わらず4,000万香港ドルの収益を叩き出し、あらゆる賞を獲得した法廷ミステリー『正義廻廊』

ざっくりしたあらすじ※ネタバレ注意

2013年、インターネット上に「行方不明になった両親を探している」というメッセージが投稿される。投稿したのは息子であるヘンリー・チョン(ヨン・ワイロン)。その後、ヘンリーは自ら両親を殺害したとネット上で自白した。

即座に逮捕されたヘンリーには共犯者と思しき男の存在があった。アンガス・トン(マク・プイトン)という1年前に知り合った友人である。二人はアンガスの住むアパートにヘンリーの両親を呼び出して殺害、二人の遺体を解体し一部を海に投げ入れ、頭部他を冷蔵庫に隠していた。

残忍な手口とヘンリーの行動が世間の目を惹き、事件は連日報道されるほど話題になった。報道は加熱し、裁判前の容疑者にインタビューするメディアが現れるほどに。

多すぎるほどの証拠を目の前にして、裁判はなんの問題もなく終結するかと思われた。しかし、選ばれた9人の陪審員たちは、裁判で繰り広げられる二人の容疑者の関係性と不可解な事件現場の状況に翻弄される。

ざっくりした人物紹介と相関

ヘンリー・チョン(張顯宗)

演:ヨン・ワイロン(楊偉倫)

容疑者の一人。両親に不満を持ち続けていた。高い知能を持ち、自尊心が高く相手をコントロールしたがるところがある。

アンガス・トン(唐文奇)

演:マク・プイトン(麥沛東)

容疑者の一人。ヘンリーとは1年前の会社の面接で知り合った。姉と母と暮らしている。知能が低く、自殺未遂をした際に脳に障害を負ったため、記憶力が乏しい。温厚だが人に騙されやすい。

キャリー・ヤウ(游嘉莉)

演:ルイーザ・ソウ(蘇玉華)

アンガスの法廷弁護士。腕利きの弁護士と言われている。

ウィルソン・ン(吳冠峰)

演:ジャン・ラム(林海峰)

ヘンリーの法廷弁護士。狡猾で優秀。ヘンリーに対して見下した態度を取る。

アレン・チュー(朱愛倫)

演:マイケル・チョウ(周文健)

ベテランの検察官。英語は流暢だが、広東語は苦手。

チョン・ヒンジョー(張顯祖)

演:チュ・パクヒム(朱栢謙)

ヘンリーの実兄。兄弟仲はあまり良くなかった。

トン・マンサン(唐文珊)

演:ハリエット・ヨン(楊詩敏)

アンガスの姉。母と二人でアンガスを守るように育ててきた。

ざっくりとした所感

法廷物でありがちな、真実は最後まではっきりしないパターン。
いままであまり見たことがなかったのは、容疑者が二人いるということ。

陪審員制度と警察の尋問に対する批判的な物を感じだけど、どの国も同じような感じなんだろう。証拠が不十分なだけに、実況証拠と犯人の動機が焦点になる。検事は罪を確定させるため、弁護士は当然自分のクライアントに有利に働くようにするために証人たちに尋問を仕掛けていく。容疑者同士の弁護士が結託することもあれば、容疑者の弁護士と検事が結託してもう一人の容疑者を追い詰めようとすることもある。

そんなやりとりに翻弄される陪審員たち当然突然選ばれてしまったので相応の責任感や真面目さは、倫理観や犯罪に関する知識レベルはてんでバラバラ、結局は心情だけで判決が左右されてしまう。

それにしても、弁護士や検事の尋問の大部分が推定や憶測で本当にそれで良いのか…?とはなった。証拠に基づいた検証があんまりなかった気がする。

作品としてはかなり複雑かつ幻想的な撮り方で、裁判者が好きな自分的にはとても良かった。