7月から暑さが本格的になり、正直何もする気がでないままダラダラブログを放置していた。
持ち主である自分もこのブログの存在を忘れてしまいそうになっていたので、流石にそろそろ更新を再開しようと思う。
そんなわけで、最近なんばの松竹座へ歌舞伎を見に行った話。
実は生まれてこの方、歌舞伎や能、落語や文楽といった日本的な文化にほとんど接したことがない。
柔道も花道も剣道も弓道もやったことがない。あ、相撲は一度生で見たことがある。
身近な人間に詳しい人がいればよかったのだが、あいにく自分の周辺にその手の話題について明るい人が誰もいなかった。せっかく住んでいる場所の近くで開催しているのに、一度も見ないのはもったいない。そう思っていた時、運良く歌舞伎のチケットを入手することができた。
大阪道頓堀一丁目にある松竹座。
前を通ることは度々あったが、実際に入ったのは今回が初めて。外観が物々しい。
ちなみにこの七月大歌舞伎は、尾上菊五郎・尾上菊之助襲名披露も兼ねていた。尾上菊五郎(菊之助)はテレビを見ていた時に何度か見たことがあったくらい。たしか寺島しのぶの弟。
ロビーに飾ってあった大きな絵画。
館内は思っていたよりも狭く、階段やエスカレーターも他の劇場に比べると狭く感じた。歌舞伎を見る層は多分ご年配の方が多いと思うのだが、誰かが転けたらドミノ倒しにならないか心配になった。
2階は売店。役者のブロマイドが売られていて、さながらアイドルのライブ会場のグッズ売り場のようだった。年季の入った常連と思われる方々が熱心に写真を選んでいた。弁当も販売されており、値段は小ぶりな松花堂弁当で1600円ぐらいだったと思う。どこで食べるんだと思っていたが、みんな幕間の時間に劇場内でパクパク食べていた。まさか20〜30分の幕間が2回もあり、上演時間がトータル4時間もかかるなんて知らなかった。とりあえず水だけは確保しておいてよかった。
2階(建物的には4階部分)の座席からの眺め。
舞台全体が見渡せるのはありがたい。花道も目の前に伸びていたのでそこそこ見えた。事前にオペラグラスを持っていった方がいいと言われていたのであらかじめ準備していた。持っていってよかった。細かい動きを確認するには2階席はかなり遠い。
位置的には全く問題なかったのだが、座席の間隔が想像していたよりもはるかに狭い。前後も膝を直角に曲げた状態でいっぱいいっぱいな感じで、左右も肩が触れそうなほど近い。これはちょっと予想外で、見終わった頃には膝がちょっと関節を決められたような感じに痛んだ。幕間の時間に立ち歩けばよかったのだが、そうするためには人を跨がねばいけなかったので面倒くさがって座りっぱなしだったのだ。
で。初めて見た歌舞伎の感想。
歌舞伎、男女の恋愛でうまくいかなかったら次の一手が死ぬか出家するか。まぁ、身分が等しくないと恋愛結婚が無理な時代なので、そうなるのもわからなくはないけど。あまりにも即断即決なので現代の価値観に照らし合わせるとちょっとびっくりする。お家の信頼で成り立っているような社会じゃ、駆け落ちしたところで行き着く先は裏寂れた長屋での貧乏暮らししかないと思えば、死んだ方がマシ…とは思わんな、自分なら。自分が金持ちの身分なら恋より裕福な生活を選ぶわ。しかし、演目の登場人物たちは皆一様に人情に篤いので選択肢が若干過激になる。そこがシンプルかつ普遍的で面白いところなんだろう。セリフはところどころ理解できない部分があるけれど、ストーリーがシンプルで動きの型も決まっているので事前に予習をしていなくても大体わかる。
歌舞伎にせよ宝塚にせよ、性別をはっきりさせることで成立する演芸なので物語の進行やキャラクターの造形には違和感を感じることが多い。とはいえ、綿々と受け継がれてきた型やリズム、音楽や装飾はやはり見事としか言いようがないので機会があればまた見てみたいなと思った。
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