道を違えた幼馴染三人の顛末『レクイエム 最後の銃弾』

ベニー・チャン(陳木勝)監督作品。ラウ・チンワン、ルイス・クー、ニック・チョンの三大スターが共演したアクションノワール。『掃毒』シリーズの第一弾。

ざっくりしたあらすじ※ネタバレ注意

子供の頃からの幼なじみのディン(ラウ・チンワン)チャウ(ルイス・クー)ワイ(ニック・チョン)の3人は警官になったが、それぞれ異なる立場にいた。エリートとして捜査のトップに立つディンと潜入捜査官のチャウ、ワイは一般の警官として3人で麻薬犯罪グループを追っていた。

臨月を迎えた妻(ヨランダ・ユアン)の為、早々に潜入捜査を切り上げたいチャウは、麻薬取引の場所と時間を警察関係者に報告し、晴れて潜入終了となるはずだった。しかし麻薬取引の現場を抑える直前で警察本部から突入中止が言い渡される。ところが、警察が待機していたことが取引相手にバレてしまい銃撃戦になる。何も知らないチャウはディンから電話でボス(ベン・ラム)を連れて逃げろと言われるが、潜入捜査を続けたくないチャウは躊躇する。ディンはやむを得ずチャウを銃で威嚇射撃をし、最終的にチャウは潜入先のボスと共にその場を逃れる。

その後、激怒したチャウとディンは険悪な仲になるが、ワイがその場を取り持つ。引き続きチャウは犯罪グループに潜入し、タイへ向かいタイの大物麻薬王ブッダ(ロー・ホイパン)に近づくチャンスを窺う。しかし、その代償に妻はチャウの元を去ってしまう。

タイ警察との合同捜査中、タイ警察の中に潜んでいたマフィアに妨害されチャウは命を落としかけ、潜入先のボスは死んでしまう。麻薬王の身内と接触できたものの、面が割れてしまったチャウは捜査を中止するようディンに進言する。なんとしても手柄を上げたいディンは、捕まえた仲介役のボビー(ケン・ロー)を使って強引に麻薬王と取引の手筈を整える。

しかし、囮捜査だと知ったブッダは味方もろともディンたちを強襲する。命からがら麻薬王の娘ミナ(タリーチャダー・ペッチャラット)を人質に取った3人だったが、逆に追い詰められてしまい、ディンはブッダからチャウとワイのどちらかを犠牲にすることを強いられる。

ディンは悩んだ末にひとりを犠牲にしたが、その5年後、死んだはずの男が二人の前に現れる。

ざっくりした人物紹介と相関

ディン(馬昊天)

演:ラウ・チンワン(劉青雲)

麻薬捜査班のリーダー。チャウとワイとは幼馴染。
やや頭に血がのぼりやすく、強引に捜査を進めるところがある。独り身。

チャウ(蘇建秋)

演:ルイス・クー(古天樂)

潜入捜査官。麻薬犯罪グループに長年潜入しており、ボスからの信頼は厚い。しかし、本人は臨月の妻のため早期の警察官復帰を望んでいる。

ワイ(張子偉)

演:ニック・チョン(張家輝)

麻薬捜査班の警察官。幼馴染二人とは異なり一般警官であることに若干引け目を感じている。温厚で熱くなりがちなディンとチャウを抑える立場。

袁可兒

演:ヨランダ・ユアン(袁泉)

チャウの妻。チャウが潜入捜査をしている時に妊娠していたが、彼を待つことに耐えきれなくなり一人で子供を育てることを決める。中国琴の先生。

ブッダ(魏興光(八面佛))

演:ロー・ホイパン(盧海鵬)

タイの麻薬王と呼ばれている男。用心深く、狡猾で冷徹。

ハク(柴國勇)

演:ベン・ラム(林國斌)

チャウが潜入していた犯罪グループのボス。

ミナ

演:タリーチャダー・ペッチャラット(寶兒)

ブッダの娘。

ボビー

演:ケン・ロー(盧惠光)

タイの麻薬取引の仲介役。

老母

演:ロー・ラン(羅蘭)

ワイの歳老いた母親。記憶障害を患っている。

ざっくりとした所感

潜入捜査を題材にした香港ノワール。
同時代のスター3人を揃えた作品だったが、個人的にはあまり好きではなかった。

厚い男の友情といえば聞こえはいいが、各キャラの行動や展開が強引で合理性に欠けたメロドラマという感じ。男三人の痴話喧嘩に妻や子供、同じ警察官の仲間たちが巻き込まれている感じがして、三人が盛り上がっててもいまいち盛り上がらない。少なくとも、家族を大事にしている設定のキャラが妻と子供を人質にとられ危険な目に遭わされたのに友情を再確認するとか、さすがにちょっとおかしくないか。

銃撃戦やアクションの派手さはあるが目新しいものはあまり感じられず、ラストの銃撃戦も装填した銃を交換しつつ応戦するといったギミックは面白いが、かといって見所になるほど映えるかといわれると微妙。

可もなく不可もなく、他の似たような作品に埋もれる小作品という印象。

 

木野 エルゴ

自由と孤独を愛する素浪人。映画と旅行、料理その他諸々趣味が多い。俳優・声優の宮本充さんの吹き替え作品ファン。

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