競馬場で秋のパン祭り〜阪神競馬場無料開放デーと最近見た映画の話〜

秋競馬が始まり、阪神競馬場も開場した。先週の土日は入場料が無料だったのでなるだけ人気の少なそうな土曜日を選んで行ってきた。

阪神競馬場

駅から競馬場までのルート、人がいないとこんなにも広いんだな。壁や柱に描かれている馬の紹介もじっくり見られる。

ターフィーの写真もバッチリ撮れた

競馬場入り口。この日は尋常じゃないぐらい暑くて、入り口付近で一人できたであろうおじさんが、多分熱中症で具合悪そうにしてた。係の人が駆けつけて症状を聞いた後、警備員3人ぐらいに付き添われて車椅子に乗せられてゲートに入って行った。せっかく稼ぎにきたのだろうに、お気の毒。

この日はイベント広場でパン祭りみたいなことをしていた。近隣のパン屋が一同に介して自慢のパンを売っているらしい。写真撮り損なったけど、いくつか購入して食べてみた。暑いと心なしかパンもヘタっているような気がする。昼過ぎに着いたのだが、惣菜パンはほとんど残っておらず甘い系のパンが売り場の大半を占めていた。多分売れなかったんだろう。暑い日に甘いパンを食べたいとは思わない。

子ども連れが多く、一昔前の成人男性ばかりが集う競馬場のイメージから随分様変わりしたのを感じた。ちなみに、この日開催予定だったポニーの乗馬体験は暑過ぎて開催中止になってた。

パドック。人が少ないと馬がよく見える。しかしこんな暑い日に走らされる馬も気の毒なことだ。数年前ならこの時期になると涼しさも感じられただろうに、この日の最高気温は33度。これはもう北海道や東北の地方開催期間をもっと伸ばさなきゃいけなくなるか。とはいえ北海道も30度越えらしいけど。

コースの風景。暑いので室内からガラス越しに撮影したら思いの外ブルーが強く出てしまった。みんな日陰から外に出て行こうとしないから、コース近くのスペースはがらがら。レースの状況はモニターでみられるからそれでもいいんだろうけど、だとしたら何しに現地まで来たんだか。

とりあえずこの日は障害のメインレースだけ見て帰ることにした。今度はもっと涼しい時期に来ることにしよう。

帰りに飲んだスタバの「おさつバターフラペチーノ」。

「アーモンドミルク・キャラメルソース・氷少なめ」のカスタマイズが美味しいと聞いたので、その通りにしてみたら確かに美味しかった。ただし、カスタマイズしていないものを飲んだことがないため、どう違うかは不明。普通サイズのストローでは芋が吸えなかったので、今度はスプーンか口の広いストローをもらうことにする。

ちなみにこれは、日本ダービーのキャンペーンに応募して当たったタスティエーラのQUOカード。予想は外れたけど、思わぬ方向で元が取れたのでようございました。


ナショナル・シアター・ライブ『ベスト・オブ・エネミーズ』

話は変わるが、久しぶりにナショナル・シアター・ライブを見に行った。

『スタートレック』シリーズでスポックを演じたザカリー・クイントの初ウエスト・エンド。

あらすじ

1968年大統領選挙の年。アメリカ3大ネットワークの中で常に苦杯を舐め続けていたABCは、マイアミで行われる共和党の党大会とシカゴで行われる民主党の党大会の期間中、異なる政治思想を持つ二人の論客を呼んで議論を戦わせる番組を思いついた。白羽の矢が立ったのは、保守系雑誌の『ナショナル・レヴュー』の創刊者として名が知られていた保守派のウィリアム・F・バックリー・Jr(デヴィッド・ヘアウッド)と、小説家であり脚本家でもあったリベラル派のゴア・ヴィダル(ザカリー・クイント)であった。「たかがローカル局の深夜番組」と侮っていた二人だったが、台本なし忖度なしの過激な舌戦は大衆の心を鷲掴みにし、やがてその影響力は二人のコントロールが及ばないほど大きくなっていく…

所感

自分、何気に政治や経済をテーマに扱った作品が好きだから、これも多分面白いだろうなと思ってたら予想通りに面白かった。

目当てで見に行ったクイントがよくハマってる。尊大で飄々としていて、人を惹きつけるオーラがあるけれど本質的には人を寄せ付けない。自分を隠すために派手に着飾って大衆の眼を虚構に惹きつける気取った文化人。ライバルであるバックリーに痛いところを突かれて弱さが露呈するシーンもグッときた。

ライバルのバックリー演じるヘアウッドも素晴らしかった。保守的で人種排斥的な思想を持ちつつも、品位と知性を重要視する人物として描かれている。保守系白人のバックリーを黒人のヘアウッドが演じるというフィクションだからできる仕掛けもヘアウッドの巧みな演技力で成就していたと思う。

この「水と油の如く嫌悪し合うふたりが、弱みに付け込むためにお互いを調べ尽くし、最終的にある合意に達し、相手を通して自分自身を問い直す」というストーリーの流れが美しく、よくできた脚本だと感心した。エモさをふんだんに詰め込んだ作品。

1968年というアメリカの影響力が最も強かった時期における『テレビ討論』という画期的な発明が政治と大衆にもたらした功罪。激動と狂乱に満ちた時代になぜ『テレビ討論』が大衆に受けたのか、この舞台を見ると分かる気がする。そしてこの舞台が示唆するように、『テレビ討論』は現代のSNS上でしばし巻き起こる不特定な人たちによる議論(とは呼べないものが殆どだが)に繋がる。

舞台でテレビを表現し、さらにそれを映像化して映画館で見るという入れ子構造も面白い。インタビューでクイントが「ヴィダルはカメラを意識するだろうと思って、角度や見え方に気を配った」と言っていたのが印象的だった。映画やテレビドラマの経験が豊富な俳優らしいアプローチの仕方だと思った。

マージン・コール

でもって、この作品を見た後に久しぶりに『マージン・コール』が見たくなってAmazon primeにあったのを見返した。自分は無敵と思っていた人間たちの右往左往する様子が面白くて、ブラックマンデーやリーマンショックを扱った作品が好きで『マージン・コール』もそのひとつ。この作品のポール・ベタニーがやたらかっこいい。有能だけど出しゃばらない、上からも下からもそれなりに慕われている人物。でも結局は主体性なんてひとつもない巻き込まれるだけの人なんだけど。

そしてこの作品のクイント、物語のキーマンでかなり美味しい役なんだけど調べてみたら自分の製作会社(ビフォア・ザ・ドア・ピクチャーズ)で作った作品なんだな。仕事が手広い。

 

マージン・コール [DVD]

監督/脚本:J・C・チャンダー
出演:ケヴィン・スペイシー、ポール・ベタニー、ジェレミー・アイアンズ 他

そういえばこの作品、『THE MENTALIST』のサイモン・ベイカーも出てる。最近見ないけどどうしてるのかなと思って調べたら『Limbo』という映画が最新作らしく、予告編見たらベイカーが『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンみたいな外見になってて吃驚した。『THE MENTALIST』終わったのが確か2015年で8年くらいしか経ってないけど、外見ってこんなに変わるもんなのか…

 

木野 エルゴ

自由と孤独を愛する素浪人。映画と旅行、料理その他諸々趣味が多い。俳優・声優の宮本充さんの吹き替え作品ファン。

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