2022/09/20にシネリーブル梅田で行われた、映画「彼女のいない部屋」マチュー・アマルリック監督のティーチインに参加したメモ。
「彼女のいない部屋」
ヴィッキー・クリープス主演。
クラリス(ヴィッキー・クリープス)は家出をしたらしい。一体何があったのか。
何も情報を入れないで見る方が楽しめるので、作品の内容についてはこれだけ。ここから先は映画を見た方のみどうぞ。
マチュー監督のティーチインは、最初から最後まで観客との質疑応答に費やされた。そこで印象に残ったマチュー監督の回答を残しておく。メモと記憶を基に書き出しているため、話半分(むしろ誤解の方が多いかも)で読んでいただきたい。
想像
この映画ではクラリスが想像するという仕草が重要。辛い現実を抜けるために想像力を働かせているため、本人にとってそれが現実かどうかは問題ではない。
フランスでは人が亡くなった場合、もう存在しない者として認識される。今回の作品は想像の中の家族と対話することをテーマのひとつとして配置しており、幽霊という概念がある日本の考え方に近い。そのため、この映画は「メロドラマ」と「亡くなった者との対話」というふたつのジャンルを跨いでいるといえる。
劇中に流れる「愛しのチェルシー」について
クラリスが想像している家族は、時間が経つにつれて徐々にクラリスのコントロールを離れていく。そこで、クラリスはもう一度マルクを魅了する必要があった。
クレープを焼くシーンで、クラリスがあの曲を歌うことで「私はここにいる」ということを伝えている。
邦題と原題が違うことについて
元になった脚本のタイトルは「遠くから帰ってきた彼女」原題は「私を抱きしめて」邦題は「彼女のいない部屋」
タイトルとは、その映画の扉だと考えている。
原題はどちらかと言うと情緒に寄り添ったタイトルになっている。邦題は「彼女」と「部屋」という二つのキーワードが入っていて、それぞれの側面から想像を掻き立てられる。タイトルの付け方はそれぞれの国の文化や考え方が反映されていて、どのような扉を設置するかは国によってアプローチが異なる。
劇中で子どもが弾くピアノについて
監督も子どもの頃にピアノを習っていた。
原作の戯曲でもピアノが重要な要素になっている。リシューを演じた2人の女優は子役ではなく、ピアニストから選んだ。劇中で彼女たちは実際に演奏していて、その音でリシューの感情を表現している。
個人的な感想
マチュー監督、普通に廊下歩いててびっくりした。裏口から入るとか無いんだ…
ティーチインの前にタバコを吸って、ティーチイン後のサイン会前にもタバコを吸いに行ってたらしい。サイン会の準備中「喫煙室が遠いところにあって時間がかかったよ」的なことを言ってた(身振りから推測)
役者だからというのもあるだろうが、人の目を喜ばせることがとても上手い。ひょうきんで気さくで人の話を真摯に聞く姿勢がめちゃくちゃ素敵だった。高感度爆上がり。サインしながら手元を見ずに相手の顔をじっと見る俳優さん初めて見た。サインの字がちょっとヨレてても気にしない。
過去作品をあらためて履修したくなるひと時だった。