おとなしい人ほど怒ると怖い『ワイルド・シティ』

リンゴ・ラム(林嶺東)監督のアクションノワール。主演は監督の前作『強奪のトライアングル』にも出演したルイス・クー。共演にショーン・ユー、トン・リーヤー。

ざっくりしたあらすじ※ネタバレ注意

元警察官のマン(ルイス・クー)は過去に運び屋をしていた連れ子の義弟チュン(ショーン・ユー)を見逃したことで警察を自主退職した過去があった。警察官だった父と、父の親友であり上司であったワン(サイモン・ヤム)の期待に応えられなかったことを悔やんでいた。現在はバーのマスターをしているマンは、ある日泥酔した女性客ユン(トン・リーヤー)を成り行きで実家に連れて帰ることに。翌日酔いが覚めたユンは、自分の乗っていた車の鍵を無くし、車の鍵を開けるよう兄弟に依頼する。しかし、チュンがユンの車をレッカーで運ぼうとしたその時、謎の男たちにユンが連れ去られてしまう。

チュンとチュンに呼び出されたマンは、なんとかユンを助け出すことができたが、肝心のユンは姿を消してしまう。

マンのバーに来る直前、ユンは恋人である弁護士ジョージ(マイケル・ツェー)から富豪の息子との取引の材料として、多額の賄賂と共に利用された。富豪の息子に襲われそうになったところを反撃し、相手に大怪我を負わせ、賄賂を持ち逃げしていたのだった。

富豪の息子が雇った台湾の殺し屋軍団と香港のマフィア、そして警察から追われる羽目になったユンと二人の兄弟は、唯一の取引材料である多額の金を持って香港の街を逃げ回ることに…

ざっくりした人物紹介と相関

マン(郭天民)

演:ルイス・クー(古天樂)

バーのマスター。品のある身なりをした男。元は警察官だったが、義理の弟であるチュンを庇い逃したことで警察官を自主退職した過去がある。正義感が強く腕っ節も強い。

チュン(郭少聰)

演:ショーン・ユー(余文樂)

マンの義理の弟。再婚した母方の連れ子。タクシーの運転手をしている。考えなしに行動するところがあり、過去に運び屋をしていたところを義理の兄であるマンに捕まったが、見逃してもらった過去がある。そのため、マンは警察を辞めることになった。

ユン(唐雲)

演:トン・リーヤー(佟麗婭)

マンの店で泥酔していた女性。恋人である弁護士ジョージに富豪の息子との取引材料に利用され、強姦されそうになったところを反撃し、賄賂に使われるはずだった金を持って逃げた。

媽媽

演:ユン・チウ(元秋)

チュンの母親でマンの義理の母親。お酒とダンスが好き。面倒見がいい。

ざっくりとした所感

「酔い潰れた女性を堅物な男性が連れて帰ってチャラい弟が手を出そうとする…」というありふれたテンプレストーリーが展開されて正直期待値が下がっていたが、ちょいちょい挟み込まれる家族のシーンとなんやかんやで途中から面白くなってきた。

ストーリーの方が凡庸で退屈に感じていたが、カーチェイスやアクションはそれなりに楽しめた。撮り方も派手で良い。

何より、中盤からのマンの怒髪天フルスロットルぶりが面白かった。弟チュンに「もう警察じゃないくせに!」と言われてからブチ切れて怒鳴るシーンと母親を拉致されてからの香港マフィアをザクザク切り刻むシーン、弟はマジで怒鳴られるたびにビクビクしてたし、香港マフィアは本当に痛そうだった。
真面目に生きてきたのに、刹那的に生きる弟とだいぶ義理に欠けた女性に振り回されてキレたくなるのも分からなくはない。

ところで、散々やらかしまくって市民も大勢怪我をさせたにも関わらず、お咎めなしどころか表彰されてるのはどうだろうと思う。

 

木野 エルゴ

自由と孤独を愛する素浪人。映画と旅行、料理その他諸々趣味が多い。俳優・声優の宮本充さんの吹き替え作品ファン。

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