弾丸長崎旅行〜旨飯と軍艦島とちょっとだけハウステンボス〜

去年の夏頃、ANAのサイトで航空チケットのセールが開催された。
家族に教えたところ、せっかくなので今まで行ったことのない場所に行ってみようという話になり、話し合いの結果長崎へ行くことにした。
2泊3日で長崎観光旅行。足が悪い人もいるので長時間歩くことはせず、限られた予算の中で行きたいところを厳選し、毎回後半には破綻する綿密な計画を立てて敢行した。

伊丹空港から長崎空港へ

大寒波、外には大粒の雪。あまり見られない雪の伊丹空港から旅がスタートする。ちょっと早めに到着したので、早々に荷物を預けてからビジネスラウンジでまったりと過ごすことにした。
 空港ラウンジ 

中は撮影不可ということで入り口だけ。フリードリンク飲み放題、コンセントは使い放題、アルコールとスナック、軽食(カレーパンやバームクーヘンなど)は有料。座席はゆったりめに配置されており、目立つ声で話さないようにとの注意書きもあるので静かにリラックスして過ごせる。土日祝日はラウンジも満席になりがちだが、幸い平日だったので人の数もまばらだった。

定刻40分前に保安検査所へ。モバイル機器とペットボトルは鞄から出して、ジャケットも事前に脱いでかごの中へ。今回初めて知ったが、フードとポケットの付いたパーカーを着ているとボディチェックをされるようだ。

家族も全員無事に検査所を通過したので搭乗口へ直行する。事前に搭乗口が変更になり、一番遠いところまで歩くことになった。おかげで余裕を持って保安検査所を通過したはずが時間ギリギリに。しかも搭乗する飛行機がプロペラ機だと分かり、若干の不安が。

 小型プロペラ機 

小さい。前回、仙台に行ったときに嫌というほど体感したが、ジャンボジェットよりも小型機の方が揺れる。そして案の定、揺れた。昔は年に10回ぐらい飛行機に乗っていたので感覚が麻痺していたが、久しぶりに乗ると大きな揺れが結構怖く感じた。

飛行機にはモニターがないので、機内サービスの映画を見る場合は機内Wi-Fiを利用して端末からサイトを見る必要がある。ちなみに今回のラインナップはこちら。

 機内で見られる映画その1 
機内で見られる映画その2 
機内で見られる映画その3 

準新作と古い作品が入り交じっているという感じ。配信サイトで見られるから、わざわざここで見なくてもいいかなという感じ。機内独自吹き替えだったらと思わなくもなかったけど、そこまで見たい映画でもなかったのでタブレットにあらかじめダウンロードしていた『ドリーム・ホース』を見ていた。トニ・コレットとダミアン・ルイスが主演だが、ホラーではないし巨大な陰謀も渦巻かない。村で有志を募って一口馬主を始めた田舎の主婦を主人公にした実話を元にしたヒューマンドラマである。馬がとてもかわいい。

 長崎空港 

何事もなく昼過ぎに長崎空港に到着。映画は最後まで見終わらず。到着後、リムジンバスの時間がまもなくだったのでろくに空港内散策もできず。天気予報は曇りだったけど、晴れ間が見えて良い感じのお天気だった。翌日の軍艦島ツアーまで天候が荒れなければ良いが。

リムジンバスで「中華街新地」に到着後、ホテルまでは路面電車で。最近は路面電車もICカードが使える。便利になったものだ。路面電車を見ると鹿児島や札幌の風景を思い出す。旅情を誘うなぁ。

 中華新地街 
路面電車 

ホテルモントレ長崎

今回、宿泊したのは大浦海岸通り駅にほど近いホテルモントレ長崎。モントレグループのホテルは何度か利用しているのでサービスの不安はない。
ポルトガルの建物を意識した作りになっていて、タイルの装飾がなんともおしゃれ。

 ホテルモントレ長崎その1 
ホテルモントレ長崎その2 
ホテルモントレ長崎その3 
ホテルモントレ長崎その4 

今回泊まった部屋。部屋の大きさに対してかなりでかいベッド。アメニティや部屋の作りに不満はないが、強いて言えばゴミ箱が部屋にひとつだけだったので、できればもうひとつほしかった。

 ホテルモントレ長崎その5 

ユニットバス。洗面台はやや広め。「ミラブル」というミストから水圧強めのストレートまで選べるシャワーヘッドを採用しており、なかなか気持ちよかった。

 ホテルモントレ長崎その6 
ホテルモントレ長崎その6 

大浦界隈散策

晩ご飯の予約まで若干時間があったので、大浦天主堂とグラバー邸を文字通り駆け足で見てきた。坂がきつい。

 オランダ坂近辺その1 
オランダ坂近辺その2 
オランダ坂近辺その3 

大浦天主堂を遠目から見ていたら、自家用車に乗った壮年の男性が観光客相手に天主堂の解説をしているのを見かけた。一般の人が観光客に解説してる…長崎では当たり前のことなのだろうか。それともあの方が趣味でやっていることなのだろうか。

 オランダ坂近辺その4 
オランダ坂近辺その5 
オランダ坂近辺その6 

時間が差し迫ってきたので写真を何枚か撮って撤退。駅に向かう途中で大粒の雪が降ってきた。長崎マイナス1度。背中や腰に貼ったカイロが全く歯が立たないほどめっちゃ寒い。地元より南に位置するのに寒い。

長崎卓袱 浜勝

路面電車に乗って10分程度、予約していたお店「長崎卓袱 浜勝」に到着。店名にもあるとおり、本日の晩ご飯は長崎名物の卓袱料理である。和蘭料理と中華と和食をミックスさせた貿易都市長崎独自の会席料理らしい。職場の同僚(元キャビンアテンダント)に教えてもらった。

 卓袱料理浜勝その1 
卓袱料理浜勝その2 
卓袱料理浜勝その3 
卓袱料理浜勝その4 

落ち着いた雰囲気と鮮やかな装飾品。ドレスコードがないとはいえ、野暮ったい服で来たことをちょっと後悔した。

 お吸い物 

「汚れを吸い取り」胃を落ち着けるためにまずはお吸い物からいただく、というのが習わしらしい。だしがきいていてとても美味しかった。

 左奥、十八寸豆の蜜煮。右奥、加齢の最強焼き、鰆の南蛮漬け、丸十レモン煮。手前、旬の刺身三種盛り。 

左奥、十八寸豆の蜜煮。右奥、加齢の最強焼き、鰆の南蛮漬け、丸十レモン煮。手前、旬の刺身三種盛り。

 ハトシ 

ハトシ。薄く切った食パンにエビなどのすり身をはさんで、油で揚げた料理。サクサク食感でとても美味しかった。

 銀杏真丈、ひじき飛竜頭、里芋白煮、茄子揚げ浸し、隠元 

銀杏真丈、ひじき飛竜頭、里芋白煮、茄子揚げ浸し、隠元(いんげん)。

 国産豚の角煮、ブロッコリー。 

国産豚の角煮、ブロッコリー。

 壱岐産特別栽培米、胡瓜の焼酎漬け、赤蕪糠漬け、昆布の佃煮。 

壱岐産特別栽培米、胡瓜の焼酎漬け、赤蕪糠漬け、昆布の佃煮。

 小松菜とキクラゲの中華スープ。 

小松菜とキクラゲの中華スープ。

 奥、柿寄せ。手前、お汁粉、白玉、桜花。 

奥、柿寄せ。手前、お汁粉、白玉、桜花。

お値段おひとり様6千円ちょっと。全部食べられるか不安だったが、適度な量と適切なサービスでほどよく満足感を得られた。この料理を教えてくれた職場の同僚に感謝。

軍艦島ツアー

二日目のメインはシーマン商会の「さるくⅡ号」でいく軍艦島ツアー。
軍艦島とは通称で、実際の名は「端島(はしま)」という。軍艦島に特段の関心があったわけではないのだが、宿泊したホテルから近い観光地を探したら船着き場が近くにあったので今回の旅程に組み込んだ。

こちらが今回お世話になった「さるくⅡ号」。

 さるく2号 

分かっていたけど、まぁまぁの小型船。

かつて、知人の知人、つまり知らない人のプライベートボートで台風接近中の荒れた海原に出た際、盛大に洋上で粗相をしまくった苦い思い出がよみがえる。端的に言えば船は得意じゃない。しかもこの船、停泊している状態でもめっちゃ揺れてる。酔い止めを飲んだとはいえ、とても不安な心持ちになった。気軽に申し込みすぎたかもしれない。

出航の時間が来たので覚悟を決めて乗り込む。多少揺れはするものの、序盤は快調に進んだ。ガイドが紹介する見所ポイントがことごとく反対側の窓から見える景色だったのでお客さん越しにしか見えなかったのが残念。

 船内からの風景その1 
船内からの風景その2 

軍艦島まで20~30分、後半にさしかかるにつれて揺れの激しさが増していき、生気を失ったように目をつぶる乗客の数も増えてきた。船内に二つしかないトイレも頻繁に人が出入りしている。

 船内からの風景その3 

ようやく、まさに軍艦という名にふさわしい姿をした端島が近づいてきた。ここから15分ほど船は島をぐるりと周遊する。デッキに出て写真撮影OKタイムになったので、デッキまで移動。人の流れに押されて最も揺れの激しい船の先端付近へ。気温1度、海風が吹き荒れる中での撮影開始。

 軍艦島周遊その1 
軍艦島周遊その2 
軍艦島周遊その3 

さすが、最近の携帯電話は動画撮影機能が優れている。しっかり手ぶれ補正がなされて、くっきりはっきり対象物が映っている。体をしっかり固定して、なおかつ携帯がぶっ飛んで行かないように必死で撮影した苦労が全く垣間見られない。ちなみにこの時点で酔いはピークに達しており、この後すぐに船内に戻ってトイレの行列にならんだ。

全員が船内に戻って数分間、長崎市からの上陸許可を待っていたのだが、正直この時まで雨が降ってなけりゃ普通に上陸できると思ってた。上陸できる割合は年間で60%、特に海が荒れやすい冬場ではもっと確率が下がるということを旅が終わってから知った。

最終的に上陸許可が下りた。実はこの前後の日は許可が下りなかったそうなので、自分たちはとても運が良かったようだ。

 軍艦島上陸その1 
軍艦島上陸その2 
軍艦島上陸その3 
軍艦島上陸その4 

岩礁の上に立てられた壁。近くで見るとその堅牢さがよく分かる。風雪に耐え、崩れた部分もあるが強度は失われていないように見える。

 軍艦島上陸その5 

電力を供給するための海底ケーブルが通っていた穴。

 軍艦島上陸その6 

左手の大きな壁の向こうに小さく見える石炭を船まで運ぶベルトコンベアーの支柱。

 軍艦島上陸その7 

ちなみに遺産認定されて保存が決まっているのは、明治時代に建てられたこの足場が組まれている資材庫と、島の周囲を囲っている「天川」と呼ばれるレンガの壁だけ。大正以降に建てられた団地や施設は手の施しようもないほど風化しているので、建築的な価値が認められていても朽ちるに任せるしかないそうだ。

 軍艦島上陸その8 

第二堅坑に入坑するための桟橋があった建物。現在は階段部分が残っているだけ。階段が黒く色づいているのは、作業員たちの靴裏に付いた石炭の粉が付着したもの。

 軍艦島上陸その9 

現在では外観のみ残っている最古のアパート。命を張った労働に対してフェアな対価と呼べるかは甚だ疑問だが、労働者とその家族たちは国内でも高い賃金と当時はまだ珍しかった三種の神器(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)を手にすることができたそうだ。

 軍艦島上陸その10 
軍艦島上陸その11 
軍艦島上陸その12 
軍艦島上陸その13 
軍艦島上陸その14 
軍艦島上陸その15 

現在、立ち入ることができる区域は南側のほんの一部分のみ。それ以外の場所は崩壊が進んでいて危険らしい。崩れたコンクリートの隙間から生える植物。月並みな感想ではあるが、人類が滅亡した後の世界ってこんな感じなんだろう。もう誰もいないけど、確かに人の生活があった名残が見える不思議な場所だった。

帰りは揺れの少ない後方部分に乗り込み、熟睡。
お土産に上陸証明書と石炭(外国製)をもらった。ちなみにこの石炭、可燃物なので機内持ち込みは不可らしい。

 証明書と石炭 

四海樓

ランチはまたしても職場の同僚(元CA)からおすすめされた、長崎ちゃんぽんのメッカ「四海樓」へ。昼過ぎなので当然満席。席に案内されるまで1時間弱待った。自分たちの後も客が続々入ってくる。さすがは人気店。窓からの眺めも人気のひとつらしいが、今回通された席は窓から遠かった。

 四海樓その1 
四海樓その2 
四海樓その3 

今回の目当てはちゃんぽんと皿うどん。皿うどんは堅焼きとうどんタイプがあり、シェアする目的でそれぞれ違うものを頼んだ。

 堅焼きそば 

中華料理店に入っても皿うどんを注文することがあまりないので、どんな味が正解なのかは分からないが美味しかった。揚げた麺とうまみの効いた餡が絶妙。ボリュームたっぷりだがサクサク箸が進む。

 皿うどん 
ちゃんぽん 

お裾分けの皿うどん(うどんタイプ)とちゃんぽん。これも美味しい。スープがあっさりしていて食べやすい。ちなみに、ちゃんぽんは注文してから20分後ぐらいに出てきたので、自分のご飯はすでに終了した後だった。ちゃんぽんを注文する人は、待ち時間を嫌わない鷹揚さが必要なのだ。

ハウステンボス

正直、この旅程にハウステンボスを組み込んでしまったことを後悔している。USJとかオリエンタルランドと同じ要領でハウステンボスも主要な駅からすぐ近くだと思っていたら、片道約2時間もかかると知った時は焦った。外は真っ暗。帰りの時間も考慮すると滞在時間は約2時間弱。入場料を5千円近く払ってそれはどうだろうと思ったが、往復3000円払って何もせずに帰るのもしゃくなので、予定通り入園した。

 駅から見たハウステンボス 

駅からハウステンボスは遠い。橋を渡った対岸にあるので、普通の人なら徒歩10分。足の悪い人だと15分以上かかる。いろいろ事情があるんだろうが、USJ感覚で行くと悪い意味でびっくりする。

 ハウステンボスその1 

園内、従業員が少ない上にライトもいくつか消しているようで、全体的に暗い雰囲気。きっと午前中に時間を持って巡ることを前提につくられているんだろう。イルミネーションは綺麗なのだが、力の入ってる場所とそうじゃない場所の落差が大きい。とりあえず光を求めて歩く。

 ハウステンボスその2 
ハウステンボスその3
 
ハウステンボスその4 
ハウステンボスその5 
ハウステンボスその6 

多分なにかしら理由があるのだろうがクマがらみの展示物が多い印象だった。クマの兵馬俑と巨大テディベア。

 ウインズ長崎 

園内にウインズ佐世保があったことに驚いた。入園料払って馬券買うの…?と思って調べたら、隣接してるだけで往来はできないらしい。

 回転木馬 

ほとんど見て回れなかったが、観覧車と三階建てのカルーセルには乗った。他にも面白そうな施設があっただけに、短時間しか滞在できないスケジュールを組んだことが悔やまれる。

そして、今回一番頭を悩ませたのが幼い子どもと中高年につきまとう「トイレ問題」。今回も、帰る間際に家族の一人がトイレに行くと言ったきり帰ってこなくなった。何故このタイミングで。電車の時間が近づいてきている。しかも、園の入り口と出口が同じだと勘違いしたせいで大幅な距離ロスが生じた。そして電車は我々の目の前から去っていった。去って行く電車を眺めた後、駅の待合室で1時間半も待つ羽目になってしまった。

まぁ、こんなトラブルも旅行の醍醐味ということにしておこう。

今回ゲットした長崎土産

最近、お土産で甘いものを買うことがあまりなくなった。というか、家族旅行なら自分以外の誰かが買ってるだろうと思って今回お菓子系は買わなかった。

 ちゃんぽん 

雲仙きのこ本舗の「きのこ屋のちゃんぽん」。
きのこ本舗の即席麺が好きでたまに買っているのだが、この商品は自分が買いに行くお店に売ってなかった。ネットでも販売しているので地域限定というわけではなさそう。しっかりと、それでいてもちもちした食感の麺とたっぷりの具材がとても食べ応えのある一品。スープはもう少し濃くてもいいかなという感じがした。

 あごだしラーメン 

なかなかパッケージにパンチがあるアネストのあごだしラーメン。半生タイプの麺がもちもちしてて良い。醤油の味がしっかりしている。単熟卵やチャーシュー、ネギを乗せて食べるととても美味い。

 まるいちあごだしラーメン 

こちらは、まるいちのあごだしラーメン。お店を教えてくれた同僚にお土産で買ったものだが、自分の分も買っといた。アネストのものより若干さっぱりしたスープ。麺は半生で細め。こちらもいろんな具材と合わせるとぐっと美味しさが増す。

 ハウステンボスのキーホルダー 

ハウステンボスではお土産店に行く余裕がなかったので、空港で買ったキーホルダー。三階建カルーセルのイラストがとても可愛い。


複数人で行く旅行はそれぞれのペースに合わせる必要があるので、一人旅とはまた違った大変さがある。今回はだいぶバタバタした旅程だったけど、振り返ってみると充実した良い旅だったなと思う。

でもまぁ、やっぱり今度は一人で行ってみようかな。

 

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木野 エルゴ

自由と孤独を愛する素浪人。映画と旅行、料理その他諸々趣味が多い。俳優・声優の宮本充さんの吹き替え作品ファン。

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