『悪魔のいけにえ2』吹き替えキャストインタビュー

『悪魔のいけにえ2』クラウドファンディングリターンの吹き替えキャストインタビューのDVDが届いた。キャストそれぞれの個性が面白かったので記録として残しとく。とはいえ、インタビューの内容は購入した人の特権なのでここではほとんど語らないし、なんなら作品とあまり関係ないことしか書いてない。

悪魔のいけにえ2吹き替えキャストインタビュー

土師孝也(レフティ/ナレーション)

土師さんがインタビューを受けている映像は初めて見た。すごいアラン・リックマンだ。あのベネディクト・カンバーバッチもモノマネをするアラン・リックマンの吹き替えの人だ。さすがに声質が似てる。渋い。インタビューの内容も、自分の仕事をきっちりこなして余計なことには口を出さない職人気質な印象を受けた。
菅生さんとは同じ年で仲が良いそうで、ドレイトンの吹き替えが菅生さんというのを聞いて「いいな、あいつ」って言ってたのが実にチャーミングだった。

恒松あゆみ(ストレッチ)

恒松さんも実際に話している映像を見るのは初めて。声のイメージよりもずっと線が細い。あれだけ叫び声を上げても喉がヘタレないのはすごい。ほかのメインキャストはインタビューでの声が若干かすれてたのに、恒松さんの声はきれいなままだった。
恒松さんというと『アニー・イン・ザ・ターミナル』のマーゴット・ロビーが印象的だけど、マーゴの吹き替えは一回しかやってないっぽい。知名度はあまりないかもしれないけど結構面白いよ『アニー・イン・ザ・ターミナル』。ところで今回の作品、出演者が男ばっかりだけど実はストレッチが一番肝が据わってて強いんじゃないかと思ってる。

菅生隆之(ドレイトン)

菅生さん、吹き替えで聞く声よりも地声の方がちょっと高く聞こえる。トミー・リー・ジョーンズの時はもう少し低いような。
テンションの高いむちゃくちゃなキャラでも性格や台詞から想像して役を組み立てて作るという話が興味深かった。舞台や顔出し経験の豊富な人だと声優という肩書きより役者と呼んだ方がしっくりくる。もっと詳しい話を聞いてみたい。

多田野曜平(チョップトップ/LG)

多田野さんも初めてしゃべってるところを見た。イメージ通りの方だなという印象。話の端々から洋画好きが滲み出てて面白かった。
多田野さんの吹き替えで印象深いのは『処刑人2』のクリフトン・コリンズ・Jrでテンションの高い役が似合う俳優だと思う。本人も「アングロサクソン系は少なかった」と明言してるけど、個人的にはメキシコ系のキャラのイメージが強い。だから『インスティンクト』のアラン・カミングのような紳士的な役は意外だったし似合ってて驚いた。作品自体は自分に合わなくて途中でやめたけど。
数年前の作品だけど最近見た『愛とセックス』も良い役どころだった。主人公(宮本さんが吹き替えてる)の親友役。面白いよ。ちょっと前までAmazon primeで配信してた。
映画とは関係ないけど80年代の返還前の沖縄の話が聞けたのは良かったな。

宮本充(LG/チョップトップ)

宮本さん、20年以上前の『Z.O.E. dolores,i』のインタビュー映像も持ってるけど、その頃から話し方とかテンポが全く変わってない印象。慎重に言葉を選びながらしゃべっている感じがする。
話の中で出てきた作品や役者はほかのインタビューの時も言及していたけど『チャペルウェイト』の話は初めて聞いた。ああいう自己犠牲的な話が好きなんだろうか。主演のエイドリアン・ブロディは間違いなく自己犠牲が大好きだと思う。彼がプロデュースする作品のテーマはだいたいそうだし。次のブロディの新作は前評判が高いみたいだけど、宮本さんの吹き替えはあるのかな。

福山潤(バズ)

福山さん、話し方がとてもこなれている。多分この年代の声優はラジオやイベントをする機会が増えてきた世代じゃないかな。だからか話し上手な人が多い気がする。いや、話し上手で人気があるから今でも現役で続けられているのかもしれない。話の筋が明確で聞きやすい。
個人的にはポンチョを着てるイメージがあったんだけど、今回のインタビューでは着てなかったなぁ。趣味が変わったのかな。

堀内賢雄(リック)

堀内さんというと前に友人に見せてもらったイメージビデオ(?)堀内さんがいろんなことにチャレンジする形容しがたいバラエティDVDの印象があるので、真剣に答えてる姿が逆に新鮮だった。
インタビューの中で「声が絵に負ける」という話をしていて思ったのが、声優初挑戦みたいな人の吹き替えが棒読みに聞こえるのはそういうことなのかなと。普通に喋っていては足りない。ジブリが本職の声優を避けるのは多分これとは逆の意味なんだろうけど。

江原正士(ナレーション/レフティ)

江原さんの話し方には、金曜ロードショーとか日曜洋画劇場とかの映画の解説をやってそうな雰囲気がある。聞いてる相手に「面白そうだ」と思わせるだけの魅力というか説得力がある。擁護するのも難しいような三流映画でも江原さんが解説すればちょっと見てみたいと思えるんじゃなかろうか。と思ったけど、そういえば昔フジテレビでそういう番組やってたわ。『二か国語』って深夜のミニ番組。番組の内容的に再放送は難しいだろうけど見たいなぁ。全部録画してる人、どこかにいないかな。
前に一度イベントで江原さんの生の芝居(朗読劇)を見たときも台本かアドリブか分からないところが多々あって面白かった。またどっかで(できれば近場で)芝居か朗読劇をしてほしい。

ざっくりした感想

話を聞いてたらホラーが苦手なキャストが何人かいて面白かった。仕事として割り切れるんだろうけど苦手なものでも見なきゃいけないとは。あと、年齢層が似通っているからなのか、Jホラー=『番町皿屋敷』『四谷怪談』なのが興味深い。もっと後の世代だと『リング』とか『着信アリ』になるのかな。

今回、何人かが吹き替えの市場が縮小していることに言及していたのが興味深かった。自分としてはAmazonやディズニー、Netflixなどオリジナル作品を作る配信サイトが増えたことでむしろ吹き替えの機会自体は増えたと思っていたので。ただ、昔みたいに同じ作品の別バージョンを作る機会が無くなったのは確かだと思う。

今後AI技術がナレーションや朗読だけではなく吹き替えまで進出すると、もっと業界が縮小するのは避けられないんだろうな。視聴者は人間だろうと機械だろうと違和感がなければ良いと言うかもしれないが、芝居の技術を磨いたり継承したりする機会が減ることで、経験と技術を元に芝居を組み立てられる役者は将来的にいなくなるのかなという気はする。でもまぁ、役者という言葉や存在も時代に即した形で変容するだけなのかもしれないが。

インタビューだけでこれだけ尺のある映像はあまりないので、良いものを見させてもらった。支援して本当に良かった。みんな違う部屋でしゃべってるっていうのが粋で、特に調整ブースでのインタビューって昔の映像でよく見たなとうれしくなった。田中秀幸さんと古川登志夫さんの『白バイ野郎ジョン&パンチ』のインタビューとかね。懐かしい。座談会もあったらうれしかったけど、それは欲張りすぎか。

 
↓↓過去に書いた記事↓↓

木野 エルゴ

自由と孤独を愛する素浪人。映画と旅行、料理その他諸々趣味が多い。俳優・声優の宮本充さんの吹き替え作品ファン。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です