Apple TV+は定期的に宮本さんを起用してくれるのがありがたい。なにより、他の動画配信系に比べて吹き替えの質が安定しているし、知名度よりも役にあっているか否かを重視してキャスティングしているように見えるところが良い。
というわけで、今回はApple TV+の新作『サイロ』を追いかけることした。
Contents
ざっくりした作品紹介
原作はヒュー・ハウイー作のベストセラーSF小説『WOOL』。
有毒物質が蔓延し、荒廃したことにより地上で暮らせなくなった人類は、地下に巨大サイロを構築。140年前に反乱が起こり、反乱軍は以前のデータや本を全て廃棄。鎮圧された反乱軍は地上に追放され、140年前の過去を知るものたちも皆炭鉱に送られた。現在あるのは絶対不可侵な「協定」と呼ばれる規範。人々は司法部はじめ上層部の監視下で生活を送っていた。
ウール 上 (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 | ウール 下 (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 |
シフト (上) (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 | シフト (下) (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 |
ダスト (上) (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 | ダスト (下) (角川文庫) 著者:ヒュー・ハウイー 訳:雨海弘美 |
ざっくりしたあらすじ
シーズンフィナーレ。
司法部に居場所を知られたジュリエットとパトリック、ダニーの3人は部屋を出てダストシュートを経由し、別の階にあるIT部のハブへと移動する。このハブは司法部のサーバーにつながっていた。ハードディスクを繋いですべての画面に映像を共有するも、バーナードによってサーバーを強制終了させられてしまう。しかし、一瞬とはいえ監視室にいた全員が青い空と緑の大地が広がる映像を見ていた。
パトリックとダニーの二人と分かれてダストシュートに逃げ込んだジュリエットだったが、襲撃班に追い詰められてしまう。やむなく飛び降りて処理場に落ちたジュリエットは、機械部に救出されてマーサの部屋に匿われる。司法部が来るまでの短い時間、ジュリエットはマーサに伝えるべきことがあった。
直後にバーナードとシムズが現れ、ジュリエットが持っていたハードディスクを破壊する。バーナードから仲間の安全と引き換えに「外に出たい」と言ったことを認め、審問の権利を放棄するという取引を受け入れたジュリエットは司法部に連行されていった。
ジュリエットが連行された後、意を決して部屋から出たマーサは、ある頼み事のために資材部のカーラを訪ねる。
ジュリエットはバーナードに連れられて用務員室奥の監視室に案内された。そこでジョージが階段から落ちた経緯を知る。ジョージは階段の監視カメラの位置を把握した上で、この映像を見るであろうジュリエットにアイコンタクトを送った後、自ら飛び降りたのだった。
拘置所のジュリエットの元に、父のピーターと機械部の同僚であるシャーリーが面会に訪れる。ピーターからはハンナの得意料理を、シャーリーからはマーサから預かってきたクッキー缶が差し入れられた。シャーリーから意味深な台詞を言われたジュリエットは、監視カメラから見えない位置で缶の中身を確かめた。クッキーの下から出てきたメモには「恐れるなかれ、資材に感謝を」と書かれてあった。
一方、バーナードの部屋に連れてこられたルーカスに10年の鉱山労働の刑が言い渡される。
刑執行の直前にバーナードが拘置所に現れ、ジュリエットに事の発端が何だったのかを告げる。また、ジュリエットの最後の望みであったホルストンのバッチも返還された。
カフェテリアには過去最多の住人が集まってきた。そこにはマーサの姿もあった。拘置所では清掃員の作業着を着たジュリエットに宣誓が言い渡され、外の世界への扉が開かれる。外に出たジュリエットの目にはパソコンで見たものと「同じ」世界が広がっていた。
ジュリエットはカメラに向かって近づくも、掃除はしなかった。そして、ホルストンが倒れている場所に近づき、何かにつまづいて倒れた。ホルストンとアリソンが倒れている場所は、ジュリエットの目には岩にしか見えない。恐る恐る岩に触れると、手の周辺の映像にノイズが走った。それを見たバーナードは「知っているのか」と呟き、血相を変えてカフェテリアを出て行った。ジュリエットはポケットから保安官のバッチを取り出し、ホルストンが倒れていると思われる場所にそっと置く。立ち上がり、自分の腕を見た。腕にはテープが巻かれている。
「資材に感謝を」
そう呟いてジュリエットは丘の方に歩みを進めた。カフェテリアを出たバーナードが「18」と書かれた鍵で部屋の扉を開けた瞬間、ジュリエットが見ている映像が荒野に切り替わった。岩と砂に覆われた世界。振り返ると、巨大なクレーターの中心にサイロへの通路とカメラがあるだけだった。いくつも並んだ巨大クレーターのひとつにジュリエットは立っていた。
ざっくりした人物紹介と相関
ジュリエット・ニコルズ
演:レベッカ・ファーガソン
元主任保安官。ハードディスクの中身を全住民に共有しようとするも叶わず、清掃員としてサイロを出ることになる。
ポール・ビリングス
演:チナザ・ウチェ
司法部から推挙された主任副保安官。妻と子どもがいる。シムズに震える腕の病気を知られたが、ジュリエットが去った後主任保安官になることが決まっている。
ロバート・シムズ
演:コモン
司法部の「見習い」。妻と子どもを怯えさせたジュリエットを憎んでいる。
バーナード
演:ティム・ロビンス
IT部門の部長であり市長の代理。司法部の実行役。本人はこの仕事を望んでいないらしい。
マーサ・ウォーカー
演:ハリエット・ウォルター
機械部の責任者。ジュリエットの理解者。あるトラウマのせいで、何十年と部屋から外に出たことがない。
キャストと吹き替え
役名 | 役者 | 吹き替え |
ジュリエット | レベッカ・ファーガソン | 佐古真弓 |
シムズ | コモン | 乃村健次 |
バーナード | ティム・ロビンス | 森田順平 |
ルーカス | アビ・ナッシュ | 露崎亘 |
マーサ | ハリエット・ウォルター | 野村須磨子 |
キャストのみの表記
千田ミヤコ、磯辺万沙子、清水優譲、武田太一、反町有里、塾一久、遠藤大智、露木徳幸、平野潤也、松川裕輝、罍陽子、弘松芹香、坂詰貴之、藤井雄太、ボルケーノ太田
ざっくりした所感
シーズンフィナーレではあるが、おそらく小説の序盤部分しか進んでいないだろう。正直何も明らかになってない感がある。取り立てて目新しい要素があるわけでもなく、それでも中弛みせず最後まで見られたのは、コンスタントに現れるミステリーと人間ドラマがうまく組み合わさっていたからだと思う。所々都合のいい展開も見られたが、全体的な流れとしては自然だったんじゃないだろうか。
当然続編ありきの第1シーズンなので、世界観の紹介がてらウォーミングアップの役割はきちんと果たせたように思う。
それとは別に、字幕と吹き替えで翻訳の解釈にずれが生じているのが気になった。台詞ひとつで印象が変わったりミスリーディングに繋がったりするので、統一するのが望ましいんだろうけど…難しいんだろうな。
他の話へのリンク
第10話「外の世界」
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